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MONO NO AWARE 「もうけもん」

「どんな意味だろう?」と、気になってほしい言葉をご紹介します。
今月の言葉は、私が愛してやまないバンド、MONO NO AWAREの「もうけもん」という曲からです。

まずは曲をお聴きください。
MONO NO AWARE – 「もうけもん」

子供と共に成長していく親目線の歌詞が特徴的ですね。

最初の「あんたって もうけもんだね」というラインには、「あなたがいてくれて良かった」という存在の肯定の感情が溢れています。
そして終盤の同じ「あんたって もうけもんだね」というラインでは、子供のいのちそのものが肯定されていきます。

さらに、最後の最後で視点の転換が起こります。
ここまで肯定されてきた「いのち」には「私も含む」と言うのです。
この一言によって、この曲が持つメッセージは果てしなく広がります。
「あなたも誰かに育てられて大きくなったんですよ」というありふれた説教臭い言い方がありますが、おそらくそんな気持ちも内包しつつ、私自身のいのちすら肯定してくれる素敵な言葉、それが「私も含む」なのです。

つまるところ仏教はこのような視点の転換を促す教えだと思っています。
数年前、お寺の掲示板に書かれた「お前も死ぬぞ」というお釈迦様の言葉が話題になりました。
言われてみれば当たり前ですが、言われるとドキッとする。これがきっと真実です。
「もうけもんだね」からの「私も含む」は、真実という意味で「お前も死ぬぞ」と同質の言葉だと思います。

ちなみに、「もうけもん」と同じアルバムに収録されている「アングル」という曲では、他者的な視点を持つことの重要性と、それでも私たちはどこまでも自分の目でしか見られないという感情が歌われています。これは他者性の真実っぽさを見抜いた曲だと思います。
「もうけもん」と「アングル」で歌われる視点の転換は似ているようで全く違う。
この2曲を同じ人が書いていることに感嘆します。

善正寺 副住職

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