
二階堂和美「お別れの時」

先日、ハチドリ舎でおこなわれたイベントにて、二階堂和美さんのライブを観る機会がありました。二階堂さんの心が直接こちらに届いてくるような、素晴らしいライブでした。
そこで最後に歌われた、とりわけグッときた『お別れの時』の一節が、今月の「気になってほしい言葉」です。
「あなたと別れたくない」
「このままずっと一緒にいたい」
歌の冒頭では、そんなストレートな感情がまっすぐに歌われます。
誰かを大切に思うとき、ごく自然に湧き起こる気持ちです。
けれども別れはやってくる。
時間という名の「いじわる」が、ふたりを引き離してしまう。
それでもこの歌は、「それが約束」と歌います。
そして、別れの痛みを、未来への約束に変えていく。
「また逢える日を、あなたの瞳に誓う私」
――このフレーズは、別れが終わりではないという、静かだけれど力強い信念に満ちています。
仏教では、「会者定離(えしゃじょうり)」といって、会う者は必ず別れると説かれます。
でも最近思うんです、死んだら終わりでたまるかと。この繋がりが消えるわけ無いじゃないかと。
関係性のかたちは変わるけれど、縁がすべて絶たれるということではない。
あなたの瞳に誓う「私」に自分を重ねて聴いています。
二階堂さんが浄土真宗の僧侶であるという視点をもって彼女の曲を聴いていくと、その受け取り方が変わってくる作品が数多くあります。とりわけ、この曲を収録したアルバム『にじみ』はおすすめです。ぜひ、他の曲も聴いてみてください。
善正寺 副住職
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